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世界の糖尿病撲滅を目指すノボ・ノルディスク

CSR報告書を読む時に最も注目したいのがトップコミットメント。その会社の方向性を左右するトップが何を考えているのかを知るための重要な項目です。今回からはCSR先進企業のトップコミットメントに焦点を当てて、CSR報告書を読み解きたいと思います。

最初にご紹介するのは、デンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクです。他の会社に先駆けてサステナビリティの取り組みを強化し、2012年の「世界で最も持続可能な企業」の第1位に選ばれています。

さて、世界で最も持続可能な企業のトップはいったいどのようなことを考えているのでしょうか。

「世界で3億6600万人が糖尿病を煩い、毎年460万人が亡くなっている。これはHIVで亡くなる人が毎年180万人であるのと比較しても多く、糖尿病は世界で流行している病気と言える。糖尿病薬を専門とする当社が今ほど求められる時代はないだろう」という言葉からメッセージが始まります。

ノボ・ノルディスクは、CSRの最大のテーマを「世界から糖尿病を撲滅すること」としています。ですから、トップコミットメントは、いかに糖尿病撲滅に向けて努力したかにフォーカスして書かれており、問題解決に向けた力強さを感じることができます。

「2011年の成果は、売上が11%増加したこと。それと同様に重要だったのは新世代のインスリン製品の臨床試験について規制認可の申請を行ったこと。
また、糖尿病に関する国連宣言(2006年)の採択に役割を果たしたこと、国連加盟国における糖尿病検査や治療の改善のための戦略と目標設定に貢献したことが挙げられる」

日本の東日本大震災の津波被害および原発被害についても言及されています。

「日本では津波と原発により、郡山の工場が影響を受けた。しかし日本の社員たちが困難を乗り越え、命を守るための薬を提供し続けていることを誇りに思う」

そして、ビジネスを行う際に「ノボ・ノルディスク行動規範」を常に遵守することが強調されています。患者や社員、医療関係者や株主に、経済・社会・環境側面の責任を持って事業を行うことが基本であると繰り返し述べられていることから、CSRへの真摯な姿勢がよく伝わるコミットメントとなっています。

アニュアルレポート2011
http://www.novonordisk.com/sustainability/online-reports/online-reports.asp

203号(13年1月9日発行)

金融機関の社会的責任とは(後編)

前回のコラムでは、金融機関のCSRの大きな柱に「サステナビリティに配慮した投資・融資」があることをお伝えしました。今回はその具体的な事例として、ドイツの大手保険会社であるアリアンツの取り組みをご紹介します。

アリアンツのサステナビリティレポートを開いて、まず読むべきところはトップコミットメントでしょう。ここには、アリアンツのサステナビリティに対する考え方が凝縮されています。

冒頭に次のような言葉があります。

「初めての地球サミットが20年前にリオで開催されたとき、誰も今のような未来を予見できなかったでしょう。100年に1度の大きな洪水がオーストラリアやタイで起き、日本での原発のメルトダウン、債務危機の脅威、アラブの春――ハリウッドでさえ、このような事態を信じることはできないでしょう」

日本の原発問題も、社会の大きな変化のきっかけとして取り上げられています。そして、「アリアンツが所在するドイツにおいてもエネルギー政策の転換があり、投資家として再生可能エネルギーに投資する事業環境が整ってきた」と述べています。

実際、アリアンツは再生可能エネルギーに対する世界で最大の投資家の一つとなっており、2011年までに13億ユーロもの投資をしてきました。この投資を行う理由として「カーボンニュートラルを目指したボランティアというだけでなく、アリアンツが優位なリターンを得られる発展可能な事業だからだ」と述べています。

低炭素社会をつくり、気候変動を抑制するために、保険会社は投資家として重要な役割を担っていることを認識し、投資を通じて社会のサステナビリティに貢献することを自らの使命としています。

再生可能エネルギー以外にも、REDD(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減)や、貧困地域を支援するコミュニティ投資に注力しており、アリアンツの投資を通じた社会貢献の考え方を明確に見て取ることができます。同社のサステナビリティレポートは、ハイライト版が24ページとコンパクトにまとまっており、とても読みやすくできていますので、ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

Allianz Highlights Sustainability Performance 2011
https://www.allianz.com/en/sustainability/downloads/reports_policies.html

202号(12年12月26日発行)

金融機関の社会的責任とは(前編)

銀行や保険会社、証券会社などの金融機関のCSRというと、何を思い浮かべるでしょうか?

もし倒産したりすれば顧客や社会に大きな影響を与えることは容易に想像できますが、メーカーのように大量の資源を利用したり、CO2をたくさん排出したりすることはありませんし、工場の従業員の人権問題に関係することも ないため、環境・社会に与える影響力は大きくないのではと考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、金融機関は、環境・社会への大きなインパクトを持っています。それは、多くの企業の活動が金融機関によって成り立っているからです。金融機関は企業の株を保有し、新たな事業を起こしたいときには銀行から融資を受けることもあります。

ですから、例えば、保険会社が自然エネルギーを普及するべきだと考えれば、自然エネルギーに注力する企業への投資を増やし、加速させることができるでしょうし、反対に銀行が、環境を破壊するような開発プロジェクトへの融資をやめれば、環境が守られるといったこともあります。

このように、銀行や保険会社が、人々から集めたお金をどのように社会で利用(運用)していくかは、今後の社会の方向性に大きな影響を持っているのです。

そのため、近年、金融機関を対象とした様々な行動原則が生まれました。環境影響の大きい開発プロジェクトへの融資を行わないことを定めた「赤道原則」や、投資の際にESG(環境・社会・ガバナンス)課題を考慮することを定めた「責任投資原則」、日本で作成された「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」などがあり、多くの金融機関が署名しています。

金融機関のCSR報告書を手に取ったときに、「この会社は、集めたお金をどのように利用しているのだろうか?」という視点を持ちながら読んでみると、その企業の考え方、大切にしていることが見えてくるはずです。次回のコラムでは、具体的な事例としてドイツの大手保険会社、アリアンツの報告書をご紹介しながら金融機関のCSRを考えてみたいと思います。

201号(12年12月12日発行)

ウォーターニュートラルへの挑戦

世界のCSR報告で今ホットなトピックのひとつが「水」の問題。人口の増加や気候変動により世界の水資源は危機に瀕していますが、日本では水資源が豊かなため、あまり大きく取り上げられることがありません。海外では水問題がどのように報告されているのか。今回は、水問題への取り組みが盛んなコカ・コーラ社(アメリカ 飲料)の報告書に注目してみたいと思います。

清涼飲料などを製造するコカ・コーラは、原料として大量の水を使うことから、水問題とは切っても切れない関係にあります。このことから、同社は環境側面の4つの柱のひとつとして水問題を掲げています。

そして2020年の目標として掲げているのが「ウォーターニュートラル」というコンセプト。さまざまな定義がありますが、コカ・コーラの場合は「最終製品に含まれる水と同じ量の水を、自然界に戻す」と定めています。きっかけになったのは、インドのコカ・コーラ工場で水利用をめぐって地元住民と衝突が起きたことでした。工場が地下水を大量に取水したために、地域の農業用水や生活水が枯渇し、大きな問題となったのです。

これを解決するために、地域の水資源を保全する取り組みを開始しました。
具体的には、雨水を集める装置を設置したり、貯水池を作ったり、農業用水のより効率的な使用方法を考えたりといった取り組みを行っています。2011年までにインド国内に600もの雨水収集施設を設けました。

インド以外にも、94カ国、382の地域で、このような水プロジェクトを地域社会やNGOなどと協力して進めています。この結果、現時点で製品に利用した水の約35%の量を自然界に戻すことができているそうです。報告書には、各地で行っているプロジェクトの様子が詳細に記されています。

地球温暖化に続き大きな課題となりつつある水問題。日本企業も本格的に向き合う時期に来ているのではないでしょうか。

コカ・コーラ 2011/2012 サステナビリティレポート
http://www.coca-colacompany.com/sustainabilityreport/

水プロジェクトについてのレポート
http://www.coca-colacompany.com/stories/community-water-programs#replenish

200号(12年11月28日発行)

ウェブを使った効果的なCSR報告(後編)

ウェブの特性をどのように生かせば効果的なCSR報告ができるか。前回のコラムでは、環境データのグラフに動きをつけて見せる方法や、タイムリーな報告ができる事例を取り上げました。今回は、ウェブの強みである「双方向性」を利用して読者とのコミュニケーションを図っている事例をご紹介します。

まず実際に見ていただくと分かりやすいと思いますので、早速こちらのページにアクセスしてみてください。
http://www.sapsustainabilityreport.com/2010/total-energy-consumed

ページの右上にコメントを記入する枠があります。どのページにもこの枠がついていて、読んだ人は、感想や提案をすぐに書き込むことができるようになっています。最近は多くの海外の企業がCSR報告をツイッターやフェイスブックなどと連動させるようになってきました。こういう会社を見ると、ちゃんと意見を聞こうとしているのだなという姿勢もうかがえますよね。

他にも、このページを見ていただくと、
http://www.sapsustainabilityreport.com/share-your-thoughts

ここでは、この企業のマテリアリティ(最も期待すること、重要な課題)は何であると思うかを読者が投票できるのです。自分がこの企業に一番取り組んでほしいと思うことをワンクリックで意思表示できます。難しいアンケートフォームに書き込む必要がないというのも大きなメリットです。そして企業側は、より多くのステークホルダーから要望を聞くことができ、CSR経営に生かしていくことができます。

CSRは、さまざま立場の人の要望や期待に応えることが基本です。ですから、ステークホルダーがどのような期待を持っているのかを知ることが重要なのですが、幅広い立場の人々から意見を集めることは容易ではありません。ウェブは誰もが企業に意見を言える場として使い勝手のよいツールになり得るのではないでしょうか。

紙媒体の冊子とウェブサイトの両方の特性を考えながら、効果が最大限に発揮されるようなコミュニケーションができるといいですね。

SAP Sustainability Report 2011
http://www.sapsustainabilityreport.com

199号(12年11月14日発行)

ウェブを使った効果的なCSR報告(前編)

10年ほど前までは、紙の冊子で発行されることが一般的だったCSR報告書も、現在では多くがウェブも併用して報告されるようになってきました。報告を読む人も、最初のアクセスはウェブから、といった人も多いのではないでしょうか。

ここ数年は、ウェブだけで報告し、紙媒体を発行しない企業も増えてきています。必要な情報を載せたいだけ載せられ、誰もがアクセスできるウェブは、より使い勝手が良いと考える企業が増えてきているためでしょう。

しかし、読みやすさで言うと、実際に手に取ることができて全体像がつかみやすいという長所のある冊子の報告書に軍配があがります。ですから、ウェブでCSR報告を行うときには、読む人に優しい工夫が一層求められるのです。

そこで、今回と次回は、ウェブならではの特性を生かして効果的に情報開示を行っている、SAP(ソフトウェア/コンピュータサービス ドイツ)の報告書をご紹介したいと思います。

活動の進捗を報告する「Our Progress」のページを開くと、直近の温室効果ガス排出量と、2020年の目標が大きく書かれており、その下に経年の温室効果ガス排出量データのグラフが掲載されています。

このグラフに工夫があるのですが、グラフの上には、Absolute(絶対量)、By employee(従業員一人当たり)、By (ユーロ記号) revenue(売上高当たり)の選択肢があり、見たいものをクリックすると、グラフが変化し、必要なデータを見ることができます。また、地域ごと、スコープ(直接排出、間接排出の区分など)ごとにも選択できます。

もしこれが紙媒体であれば、2つも3つもグラフを掲載しなければならないところですが、ウェブの特性を生かすことで、簡潔に示すことができます。
ただでさえ難しいと言われる環境データ、少しでも伝わりやすいように開示したいものですね。

実際に見ていただくとわかりやすいので、こちらからどうぞ!
<温室効果ガス排出量>
http://www.sapsustainabilityreport.com/greenhouse-gas-footprint

また、四半期ごとにデータを更新していて、タイムリーな情報開示ができるというのも、ウェブならではといったところでしょうか。

次回は、同社の報告書のもう一つの特徴で、ウェブならではの「双方向性」を生かした工夫をご紹介したいと思います。

SAP Sustainability Report 2011
http://www.sapsustainabilityreport.com

198号(12年10月24日発行)

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