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世界的な総合金融機関、INGグループ

今回は、世界40カ国で銀行、資産運用、生命保険業などを行うオランダのINGグループをご紹介します。

世界の金融危機によって、同社も大きな影響を受け、事業の整理や社員のリストラなどさまざまな対応を迫られていましたが、4年半を経過してようやく回復の兆しが見え始めています。組織の改革にあたって、多くの社員が会社を去ることになりましたが、社長がそのことについてトップメッセージで言及しています。

「われわれの社員の努力によって会社を再建し革新することができました。それゆえに、組織の合理化によって、銀行、保険、投資事業に関わる多くの社員が会社を去ることになったことについては、とても心苦しく思っています。このことはとても残念に思いますが、これは不安定な情勢のなかで私たちの会社を柔軟性をもって運営していくために必要なことでした。私はすべての社員の献身と回復力に感謝したいと思います。」

社員のリストラについて言及することは、日本企業のレポートではあまり見られませんが、退職した社員に対しても誠実に感謝の気持ちを表していることについては好感が持てるのではないでしょうか。

環境の取り組みとしては、再生可能エネルギーへの投資について述べられています。

「新しい活動として、地熱および風力発電の分野への取引を始めました。新しい技術や規制の変更などで難しい環境でしたが、私たちはこのような分野のプロジェクトに融資してきました。2012年には、ノースウィンドプロジェクトへの融資を行いました。これは、216メガワットのベルギー沖の風力発電で、23万家庭の電力使用量に相当する発電ができます。」

そのほか、将来世代への取り組みとして、ユニセフと協力して子供たちへの基礎教育を提供していることや、サプライヤーへのグローバルコンパクト普及の取り組みなど、さまざまな具体的な取り組みが語られており、トップメッセージを読むだけである程度の活動内容を知ることができます。

トップメッセージは3ページにわたる珍しく長いメッセージとなっており読み応えのあるものです。報告書自体も、以前は20ページ程のシンプルな報告書を発行していましたが、今年は93ページにおよぶしっかりとした報告となっています。

ING in Society http://www.ingforsomethingbetter.com/reporting/

209号(13年4月3日発行)

従業員の参画を大切にするヘンケル

今回は、ドイツに本拠地を置く日用品メーカー、ヘンケルのトップメッセージを見てみましょう。日本ではあまり見かけませんが、ヨーロッパやアメリカで洗濯用洗剤やシャンプー、接着剤などを広く展開する多国籍企業です。

サステナビリティレポートのトップメッセージは、力強いコミットメントから始まります。

「『私たちは、サステナビリティにおけるリーダーシップを約束します。』この言葉はヘンケルの5つのバリューのうちのひとつです。そしてこの考え方をもとに、2030年に向けたサステナビリティ戦略を策定しました。私たちの志は、次の20年間で効率を3倍にすること。その第一歩は、2015年までに資源効率を30%向上することです。」

そして驚くことに、サステナビリティ戦略を実践するために、670回もの従業員ワークショップを行ったというのです。

「私たちはこの戦略を2012年に発表しました。従業員とともに世界中で670回にも及ぶワークショップを実施し、この目標を達成するための6,000もの具体的な方法を定めました。」

サステナビリティをどのように事業に組み込むか、そしてどのように社員の意識を高めていくかは、多くの企業にとって難しい課題となっています。同社では、地道にワークショップを行い続けることによって、従業員の参画を促し、理解を深めました。

「社員は、中期、長期で何を達成すべきかを明確に理解しています。また取引先は、私たちの目標とロードマップ、そしてサステナビリティの取り組みに対する外部からの評価に高い関心を示しています。」

「これまで取り組みを進めてきましたが、まだ先は長い道のりがあると認識しています。(中略)これから先へ進めるためには、従業員がより深く参画していくことが必要です。」

サステナビリティ戦略に従業員とその他のステークホルダーがどのように関わっていくか、トップメッセージの多くはそのことに割かれており、従業員の参画を大切にしている姿勢が伝わるメッセージとなっています。

ヘンケルサステナビリティレポート2012(英文) http://sustainabilityreport.henkel.com/foreword.html

208号(13年3月19日発行)

脱原発を宣言したシーメンス

今回はドイツの電機メーカー、シーメンスをご紹介します。日本では補聴器などで知られていますが、電力関連、運輸、医療、家電など幅広い機器を製造する多国籍企業です。

シーメンスは、世界でも主要な原発メーカーのひとつでしたが、福島第一原発の事故の後、原子力事業からの完全撤退を発表し、大きな話題となりました。その後発行されたサステナビリティレポートのトップメッセージでは、将来世代への責任を強く語っています。

「子供たちは、私たちの未来です。生きる価値のある世界を子供たちに引き継ぐことは、私たちの義務です。そして、ここに私たち企業が貢献できることがあります。革新的な製品やソリューション、サプライチェーン・地域社会・お客様に対してサステナビリティを実現する約束。次世代の利益となるサステナブルな発展は、私たちすべての人々に関わることなのです。」

そして、エネルギー政策の転換について触れています。

「2011年、政府も社会も企業も大きな課題に直面しました。福島の問題、エネルギー転換、アラブの春、債務危機、そして歴史上最大のCO2排出といった課題です。ドイツの新しいエネルギー政策は環境にやさしい技術に対してチャンスを与えるものです。そしてシーメンスは世界中で変化を生み出すことができるのです。」

風力発電などの再生可能エネルギー事業を拡大しているシーメンスは、エネルギー政策の転換に乗って、世界で貢献していこうという意気込みが見えます。

「2011年には売上の41%にあたる299億ユーロの収入を環境関連の事業から得ました。また、私たちのグリーン技術によって、顧客のカーボンフットプリントを31,700万トン削減することができました。これは、世界のエネルギー由来のCO2排出量の1%に相当します。これにより、ドイツサステナビリティ賞を受賞しました。」

シーメンスが脱原発を決めたことは大きな決断だったと思いますが、子供たち、孫たちの世界を本当によい社会にするために、企業は何をすべきで、何をやめるべきか、今一度、真剣に考える時なのではないかと感じさせるメッセージです。

サステナビリティレポート2011(英語) http://www.siemens.co.jp/Japanese/sustainability/Pages/Sustainability.aspx

207号(13年3月6日発行)

ブリティッシュテレコム(BT)の「より良い未来レポート」

ここ数回、日本語で読める海外のレポートをご紹介していますが、今回はイギリスの通信会社ブリティッシュテレコム(BT)のCSRレポートを見てみたいと思います。日本で言うとNTTのような会社で、固定電話、携帯電話、ITサービスなどを行っています。

レポートのタイトルがBetter Future Report (より良い未来レポート)となっているのは、多くの人に伝わりやすくて良いですね。冒頭のトップメッセージは非常にシンプルで、

・中心となる光ファイバー事業によって、ビデオ通話や在宅勤務が可能となり、社会全体でよりスマートな働き方を実現することが同社の役割であること・社会の大きな課題に対応するため、大胆な長期目標を発表する予定であること・炭素排出量の削減計画が、困難に直面していること

の3点を語っています。

「大胆な長期目標」がどんなものか大変気になりますが、これは2013年中に発表するという予告のみで詳しいことは書かれていません。でも、確実に取り組みが進歩している感は伝わりますね。

そして、炭素排出量に関しては、以下のように語っています。

「1997年以降、当社の炭素排出量は60%低下しました。当時、BTは2020年までに80%の削減を達成することを約束しました。この約束は現在も変わりありません。しかし、この目標値の達成計画の一部である風力・太陽光発電プロジェクトの推進が徐々に困難になりつつあります。政府の政策にもっと明確な方針が必要です。また、私たちは広い視野で考える必要があります。」

達成したことだけではなく、問題となっていることを同時に語ることで、情報開示の透明性、中立性が感じられるようになっています。多くの企業は、成果ばかりを強調しがちですが、「何ができていないか」に注目して読んでみることで、企業の姿勢を伺い知ることができます。

同社のレポートの要約版は8ページにまとめられており、とても読みやすい構成になっています。ぜひ一度アクセスしてみてください。

Better Future Report 2012 http://www.btplc.com/Responsiblebusiness/Ourstory/Sustainabilityreport/downloadcentre/index.aspx

206号(13年2月20日発行)

「共通価値の創造」を掲げるネスレ

バレンタインにちなんで、今回はキットカットなどで知られるネスレの「共通価値の創造報告書2011」をご紹介します。2011年には、児童労働などの問題のない持続可能なカカオの調達をめざす「カカオ・プラン」というキャンペーンをスタート。報告書のトップメッセージでは、以下のように語っています。

「特に深刻な課題が児童労働です。ここ数年私たちはネスレのサプライチェーンにおいて児童労働の余地のないことをさらに確実なものにするために取り組んできました。従ってネスレ独自のカカオサプライチェーンの透明性を高めることができるように、そしてこの件に関係する他のステークホルダーと共に是正措置を定め実行することができるように、NGO公正労働協会と協働する初めての食品企業となったのです。」

カカオについては、これだけしか言及されておらず残念なところですが、さらに重要な課題として「水資源」を掲げています。メッセージの冒頭では、

「2050年までに世界の人口は93億人に達すると予想され、これを支えるため、私たちは食糧の生産 量を倍増させなくてはなりません。その鍵を握るのが、地球上で最も希少な天然資源である水です。現在のように水を過剰使用していけば、石油より先に水が枯渇するでしょう。ネスレが「燃料のための糧はない」と主張するのはこのためです。」と述べ、水資源の枯渇に対する危機感を強く語っています。

「水の問題は地域の課題です。しかし、経済が相互に連動している現状では、地域の水不足の影響がたちまち世界的な問題になります。(中略)本当の意味で持続可能な解決策は、複数のステークホルダーが協力して対処して初めて実現するのです。従って、私たちの直接的な対応の一方で、水資源に関する国際的な対話を積極的に推進していく所存です。」

メッセージの半分以上を水問題に費やしており、確固たる意思を感じます。サステナビリティに関わる課題は数多くあり、どの課題にも触れておきたいと考える企業が多いですが、そうすると、それぞれの課題についてはほんの一部しか語ることができません。自社にとって大事な課題は何か、最も大きな課題一つを選んで深く語ってみることで、より共感の得られるメッセージになるのではないでしょうか。

全文を日本語で読むことができます。トップメッセージ以外にも「共通価値の創造」を主眼においた報告書として見所が満載です。

共通価値の創造報告書2011(日本語) http://www.nestle.co.jp/csv/performance#.URhUiKX3twI

205号(13年2月6日発行)

ビジネスモデルを変革するユニリーバ

CSR先進企業のトップコミットメントシリーズ2回目は、シャンプーや洗剤で有名なユニリーバをご紹介します。サステナビリティにむけてビジネスを変えていこうとする決意をこれだけ力強く感じられる企業は他にありません。

現在の社会の課題を認識した上で、これまでのビジネスモデルから脱却することの必要性を同社のトップは以下のように語っています。

「企業は自らが果たすべき役割を明確にしなければなりません。政府がアクションを起こすのをただ見ているか、それとも自ら問題解決に乗り出すのか。ユニリーバは企業が問題解決の一端を担うべきだと考えています。そのために、企業は変わらなければなりません。四半期報告書にひたすら追われるのではなく、長期的な視野で事業活動を進めなければなりません。ビジネスを社会から切り離すのではなく、社会の一部ととらえなければなりません。また、住民やコミュニティーのニーズには株主のニーズと同等の重みがあると自覚しなければなりません。

ユニリーバは、将来はこうした考え方に基づいたビジネスモデルしか生き残れないと考えています。不公平さや身勝手さを感じさせるビジネスは人々に支持されないからです。また、長期的なサステナビリティを考慮せずに水、食料、土地、エネルギーといった主要な資源を消費し続ければ、誰も豊かにはなれないでしょう。」

そして、ユニリーバは2010年に成長とサステナビリティを両立する新しいビジネスプランとして、ユニリーバ・サステナブル・リビング・プランを発表しました。

「やるべきことはたくさんあります。私たち企業に選択肢はありません。持続可能で公正な成長モデルだけが受け入れられるのです。これは、非常に効果的なモデルでもあります。成長とサステナビリティは両立でき、両者に本質的な対立はないのです。サステナビリティが成長を加速することを私たちは経験から知っています。だからこそ、私たちはすべての取り組みの中核にサステナビリティを置いています。」

いかがでしょうか?このくらい潔く語ることができる企業が増えれば、社会も変わるのではないかという希望がわいてきます。全文を日本語で読むことができますので、ぜひ同社のウェブサイトにアクセスしてみてくださいね。

ユニリーバ最高経営責任者のご挨拶(日本語) http://www.unilever.co.jp/sustainable-living/ourapproach/messageceo/index.aspx

204号(13年1月23日発行)

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