TCFDは気候関連財務情報開示タスクフォース(Task force on Climate related Financial Disclosures)の略で、主要国の財務大臣・中央銀行総裁などで構成される金融システムの安定化を図る国際的組織である、金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)の下に、2015年に設置された作業部会です。
異常気象などの気候変動の物理的影響や、低炭素経済への急激な移行などが、金融システムの安定を脅かす(リーマンショックのような金融危機を招くなど)恐れがあるとして、金融セクター(投資家・貸付業者・保険会社など)が、気候関連リスク・チャンスを適切に評価し、投資判断などに活かすための情報開示の在り方について提案としてまとめたものが、TCFD提言です。2017年6月に最終報告書が公表された後、日本の金融庁、環境省、多くの団体、企業などが提言に賛同しています。
提言は、社債や株式などを発行する全ての企業に対して、気候関連のリスクとチャンスに関する情報開示を行うことを推奨しています。
開示項目は主として、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4つで特に、
などについての説明を求めています。ESG投資の格付け等においてもこの開示情報は今後、益々重要となるでしょう。
「気候変動リスクは金融システムの安定を損なう恐れがある」と金融安定理事会(FSB)議長の発言からスタートしたグローバルなイニシアチブであるTCFD。
TCFDコンパス研究会は、このTCFDが推奨している2℃目標などの気候シナリオを応用して、自社の気候関連リスクと機会をバリューチェーン全体で評価し、中長期の経営戦略・リスク管理へ反映しながら、将来的な財務上の影響をどのように情報開示していくべきかについて、多くのステークホルダーと共に探求していくことを目的としています。